創世記42:6~17
6 ときに、ヨセフはこの国の権力者であり、この国のすべての人々に穀物を売る者であった。ヨセフの兄弟たちは来て、顔を地につけて彼を伏し拝んだ。
7 ヨセフは兄弟たちを見て、それとわかったが、彼らに対して見知らぬ者のようにふるまい、荒々しいことばで彼らに言った。「あなたがたは、どこから来たのか。」すると彼らは答えた。「カナンの地から食糧を買いにまいりました。」
8 ヨセフには、兄弟たちだとわかったが、彼らにはヨセフだとはわからなかった。
9 ヨセフはかつて彼らについて見た夢を思い出して、彼らに言った。「あなたがたは間者だ。この国のすきをうかがいに来たのだろう。」
10 彼らは言った。「いいえ。あなたさま。しもべどもは食糧を買いにまいったのでございます。
11 私たちはみな、同じひとりの人の子で、私たちは正直者でございます。しもべどもは間者ではございません。」
12 ヨセフは彼らに言った。「いや。あなたがたは、この国のすきをうかがいにやって来たのだ。」
13 彼らは言った。「しもべどもは十二人の兄弟で、カナンの地にいるひとりの人の子でございます。末の弟は今、父といっしょにいますが、もうひとりはいなくなりました。」
14 ヨセフは彼らに言った。「私が言ったとおりだ。あなたがたは間者だ。
15 このことで、あなたがたをためそう。パロのいのちにかけて言うが、あなたがたの末の弟がここに来ないかぎり、決してここから出ることはできない。
16 あなたがたのうちのひとりをやって、弟を連れて来なさい。それまであなたがたを監禁しておく。あなたがたに誠実があるかどうか、あなたがたの言ったことをためすためだ。もしそうでなかったら、パロのいのちにかけて言うが、あなたがたはやっぱり間者だ。」
17 こうしてヨセフは彼らを三日間、監禁所にいっしょに入れておいた。
兄たちを試すヨセフ
ヨセフと兄弟たちの対面
兄弟たちは、今やエジプトの宰相となったヨセフを、顔を地につけて伏し拝んだ。これは、東方の諸民族の習慣である。22 年が経って、ヨセフの最初の夢が部分的に成就した。(1)ヨセフは兄弟たちを認識したが、兄弟たちにはそれがヨセフだということが分からなかった。ヨセフは通訳者を介して語り、自分がヨセフであることを伏せておいた。(2)エジプト人が異民族を審問する時は、荒々しい言葉を使ったが、ヨセフは兄弟たちに対して通常以上に荒々しく振る舞い、間者(スパイ)ではないかとの容疑をかけた。これは、兄たちを試すための方法であった。
ヨセフの願い
(1)ヨセフは、彼らを間者(スパイ)呼ばわりしたが、それは、故郷(カナンの地)の状況を確かめるためであった。なぜベニヤミンがいないのか。父の様子はどうなのか。それらのことが、ヨセフの関心事であった。(2)兄たちは、自分たちは12 人兄弟で、カナンの地にいる1 人の人の子であると事実を正確に述べた。また、末の弟(ベニヤミン)は、今、父といっしょにいるが、もう1 人(ヨセフ)はいなくなったと述べた。兄たちの認識では、ヨセフは死んだことになっていた。(3)ヨセフは、兄たちを3 度も間者呼ばわりし、彼らの説明が真実であることを証明せよと迫った。つまり、9
人を残して1 人だけ帰り、末の弟を連れて来いというのである。ヨセフは彼らに、末の弟が来るまではエジプトを出ることはできないと脅迫した。(4)ヨセフは、復讐心に燃えてこのことを行ったのではない。荒々しい態度の中に、兄たちに対する優しさが垣間見える。彼は、兄たちが悔い改めに導かれることを願っていたのである。
兄たちがヨセフを伏し拝んだ時点で、彼がかつて見た夢(37:6
~9)は現実のものとなった。しかし、家族全員が彼の周りに集められるまでは、その夢がすべて実現したことにはならない。ヨセフは、夢の全面的な実現のために動いている。兄たちにスパイ容疑をかけ、ベニヤミンをエジプトに呼び寄せようとしたのは、そのための策である。ヨセフは、その夢が全面的に実現した時に起こる祝福まで見ていた。ヨセフの使命は、イスラエルが小さな家族集団から一大民族に成長するための架け橋となることにあった。私たちの夢はどうだろうか。小さな祝福で満足していないだろうか。神は、小さな祝福の先にさらに大きな祝福を用意しておられる。神の計画の成就を目指して、きょうも歩もう。
ハーベストタイムミニストリーズ Clayより