MLBニューヨーク・ヤンキースの パワーヒッター、 ジャンカルロ・スタントン

圧倒的な成績をあげ続けるスター選手の活躍を支えるもの
聞き手/アンドリュー・ガットマン Andrew Gutman

 

現在28 歳のジャンカルロ・スタントンのこの10年は素晴らしいものだった。2010年に現マイアミ・マーリンズ(当時はフロリダ・マーリンズ)に入団して以来、圧倒的な成績をあげ続けてきた。MLBオールスターゲームに4回出場し、2017 年にはナショナルリーグMVPにも輝いた。さらに2017 年は本塁打王(59 本/ 2001年のMLB 記録以来16年ぶりの本数)、打点王(132 打点)、シルバースラッガー賞も獲得。2014 年にはマーリンズと13 年総額3億2500 万ドルの再契約を交わした。

だがそこに、ニューヨーク・ヤンキースへのトレード移籍の話が持ち上がった。マーリンズ側はあまりに高額な負担の回避を決め、スタントンのヤンキースへの移籍が決まった。しかしこの移籍決定について、スタントンに不満はなかった。
「すごく興奮していた」とスタントンは、ヤンキースの一員となることについて本誌に語っていた。
「ヤンキースのユニフォームを着るんだと、子どもみたいにワクワクしていた」
 そして身長198㎝、245ポンド(111.1kg)のスラッガーは、ヤンキースデビュー戦で2本塁打を放つ活躍を見せた。
 しかし、スタントンのこの見事な戦績は、日常の努力なしに生まれたものではない。メジャーリーグ屈指のパワーの持ち主として知られる選手だが、その陰には日々のたゆみない取り組みがあるのだ。
「スイングスピードと全般的な筋力を強化するための爆発的なパワーを高めるトレーニングをたくさん行っている」とスタントンはいう。
打撃の体の回旋のトルクを増すためによく行うのが、スレッドプッシュとスレッジハンマースイングだ。そしてスタントンのインスタグラム(@giancarlo 818)をじっくり見ると、さまざまなユニークなトレーニングを行っているのがわかる。左右の手にダンベルを持ち、さらに後ろに立ったパートナーも負荷に加え、後ろ向きでスレッドを押して坂を上がるトレー
ニングや、スキーエルゴ(ski erg)で行うトレーニング、90 ポンド(40.8kg)のダンベルで行うハンマーカールはじめ、斬新なトレーニングがたくさんある。 しかし純粋な筋力強化については、スタントンは基本を実践している。
「スクワットやダンベルプレスといった一般的なエクササイズを行っているし、通常のウェイトトレーニングも重視している」とスタントンはいう。
 1シーズン162ゲームのメジャーリーグの試合に常に万全の状態で臨めるように、現在のスタントンは回復に最も力を入れている。そして、この点にもっと早く気づけばよかったという。
「もし昔に戻って、その頃の自分に何かアドバイスできるとしたら、回復をトレーニングと同じくらい重視すべきだと教えたい」とスタントンはいっている。トレーニング後のアイスバスやストレッチング、サウナといったプロスポーツでは当たり前となっている手段のほかにも、ウォーキングや低強度のサイクリングなども回復をうながすために行い、さらに栄養
摂取にも重点をおいている。
「いうまでもないが、愛用のプロテインシェイクは『Triple Chocolate Whey Protein』だ」とスタントンは、契約メーカーの製品をあげている。
「このシェイクをトレーニング後、試合後、そして飛行機での移動前にも摂っている」
 そのほかの食事については、トップアスリートの食事ではおなじみのあらゆる健康的な食品を摂り、低炭水化物・高脂質の食事法を実践している。その成果は彼の体が物語っている。「アボカドと卵は朝食の定番だ」とスタントンはいう。「健康的な脂質はすごくいい。体調もいいし、1日を快適に始められる」
 ハードワークは実を結ぶ。期待を集め続けるこのスラッガーは、トレーニングに打ち込み、回復もしっかりと図ったあと、大好物の食事をしっかり食べる。その好物とは、「タコスだ。いうまでもない!」