NK細胞の特徴① NK細胞は「町のお巡りさん」

奥村氏は、T 細胞やB 細胞が「国を守る軍隊」にたとえているのに対し、NK 細胞は、「生活の治安を守ってくれる町のお巡りさん」の役割をしているとたとえています。
 このたとえで考えてみると、リンパ球が大きく2つの役割で体を守っているのが、あらためてよく分かります。以下、NK 細胞に関する解説を引用します:

 

T 細胞、B 細胞とともにリンパ球でもう一つ大事なのは、NK(ナチュラル・キラー)細胞です。NK 細胞についてわかってきたのはつい最近ですが、そのことについて詳しくはあとで説明します。 NK 細胞は、私たちの体に毎日できる異型細胞をやっつけてくれます。私たちの体の中では毎日約一兆個の細胞が新たにできますが、そのうち、できそこないの遺伝子を持つ突然変異を起こした細胞(異型細胞)が三千~五千個はできると言われています。それががん細胞です。元気ならば、毎日できるがん細胞は撲滅されて増殖することはありません。がん細胞が増殖しないようにする役割を担っているのがNK 細胞です。
 T 細胞、B 細胞を軍隊とすると、NK 細胞は町のお巡りさんです。お巡りさんは、日本の国が平和なときにも交番で頑張っていて、私たちの生活の治安を守ってくれています。
(中略)

NK 細胞は将棋で言えば歩のような役割で、体の中にできているがん細胞や、外から入ってくるウィルスと最前線で戦ってい
ます。軍隊のT 細胞やB 細胞は、発熱時に出動しますが、平熱時にはお休みしています。平熱時に最前線で見張っているのがお巡りさんのNK 細胞です。時間的にも最もよく働いている大切な防御システムの一つと言えます。