「T細胞」「B細胞」の特徴は?

 体が非常事態の危機に陥ったとき、T 細胞やB 細胞がそれを救うべく活動を開始する。 奥村氏はそうしたT 細胞やB 細胞の役割を、「人間の体を国にたとえれば、国を守る軍隊にあたります」と説明していますが、命の守り方に、NK 細胞との大きな違いがあることが分かります。
 以下に引用する記事では、T 細胞やB 細胞についてさらに詳しい特徴を分かりやすく解説しています:

 

それでは、T 細胞やB 細胞といった軍隊は、どのくらいもつのでしょうか。 いくつぐらいまでもつかという計算があるのですが、おそらく人間が二百歳ぐらいまで生きても、軍隊はなんともないだろうということになっています。
 T 細胞やB 細胞は、大変長持ちするようにできているのです。 脳や心臓の働きは、だいたい百歳ぐらいになるとガタガタになってきます。ところが免疫だけは、それ以上にもつというわけです。 百歳の人にインフルエンザのワクチンをしても効果があります。ワクチンの効果があるのは、百歳になってもT 細胞やB 細胞の働きがまだ活発だからです。
 ワクチンとは、弱い病原体を体内に注入することで体内に抗体(病原菌などの分子[抗原]を認識して結合する働きを持つ)をつくって、感染症にかかりにくくすることです。
(中略)

そして、軍隊のT 細胞やB 細胞は、ふだんは休んでいます。敵が攻めてくる、つまり異物が侵入してくると、まずはB 細胞がミサイルを撃ちます。ミサイルに相当するのが抗体ですが、抗体タンパクをつくって飛ばします。その攻撃で、かなりのウィルスはやられます。
 しかし、敵をミサイルだけで全滅させることができるかどうかは疑問です。敵を完全にやっつけるときに、地上軍のようなものが必要になります。それがT 細胞です。つまり、B 細胞がミサイルを撃ったあとにT 細胞が出て行って、残った敵を全部殺してしまう。このようにB 細胞とT 細胞の働きには違いがあります。
 われわれが平熱の三六℃前後のときには、B 細胞もT 細胞も軍隊はみな寝ている状態です。しかし、熱が三八~三九℃と上がると、非常時で軍隊が出てくるのです。発熱というプロセスのときには、軍隊が動いているのです。
 このように、T 細胞やB 細胞は年齢にも左右されません。さらに、泣いたり笑ったりといった感情にも左右されません。ですから、精神的に暗くなっても、機能しなくなることはありません。そこが大切なところで、まず免疫の基本です。そして、ウィルスのような小さなものに対して、ものすごく利口にできているのです。