「T細胞」「B細胞」「NK細胞」 リンパ球のそれぞれの役割は?

「獲得免疫」の働きを担っているのがリンパ球ということですが、このリンパ球にもまた「T 細胞」「B 細胞」「NK 細胞」などの種類とその役割があるので、免疫の話がより複雑になります(T、B、NK など、アルファベットを含む名称が出てくるので、なおさらややこしい感じがしてしまいます)。
 しかし、「健康長寿」のためには、これら「T 細胞」「B 細胞」「NK 細胞」などの役割をしっかり理解しておくことが重要です。
 以下に、奥村康氏の『ウソだらけの健康常識――“不良長寿”のすすめ』から、「T 細胞」「B 細胞」「NK 細胞」などについて解説したところを抜粋して引用します:

さらにリンパ球は外から侵入した異物に対するだけでなく、がん細胞など、体内で生まれた異常細胞を処理します。
 リンパ球にはT 細胞、B 細胞、NK(ナチュラル・キラー)細胞などがあります。がん細胞をやっつけるということで注目されているのがNK 細胞です。ただし、免疫の本体としては、NK 細胞よりもT 細胞とB 細胞が多く、リンパ球のうち約八割を占めます。T 細胞は胸腺で発達したもので、B 細胞は、主に腸管系で発達したものです。
 さて、問題なのは、これらのリンパ球の働きが、気持ちの持ち方次第で変わるのかどうかです。T 細胞やB 細胞という免疫の本体は、そんなに簡単には動きません。まずこのT 細胞、B 細胞についてお話ししておくと、T 細胞やB 細胞は、人間の体を国にたとえれば、国を守る軍隊にあたります。

  生まれてきた赤ん坊は、T 細胞やB 細胞ができていないと、百日生きられずに死んでしまいます。お母さんの栄養状態が非常に悪かったりして免疫に発育不全が起きる場合です。アフリカなどの開発途上国では、赤ん坊が生まれて百日以前に死んでしまう例が多いのですが、それは栄養がよくなく、体を守る軍隊であるT 細胞、B 細胞のできがよくないからです。
 百日参りという風習がありますが、昔から生後百日、丈夫に育てば赤ん坊が健康に育つということが経験的にわかっていたのです。つまり、それは赤ちゃんの体を守る軍隊がきちんと揃ったことを祝ったのです。いまの日本では、豊かになり、母体の栄養状態がよくなり、新生児の死亡率は非常に低くなっています。百日以降、その軍隊は、生涯にわたって大体安定した状態のまま続きます。