骨芽細胞を増やすのがカギ

記憶力や筋力、精力を増強するメッセージ物質「オステオカルシン」、免疫力を増強するメッセージ物質「オステオポンチン」の2つを増やすにはどうすればいいか?

 そのカギになるのが、骨芽細胞だといいます。骨芽細胞は骨をつくるだけでなく、この2つのメッセージ物質を各臓器に送り出す役割も担っているからです。
 それでは、骨芽細胞を増やすにはどうすればいいか? そのカギは、骨に衝撃がかかるような運動をすることだといいます。これについて解説した箇所を、『人体~神秘の巨大ネットワーク』2から以下に引用します。

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「骨に衝撃を感知すると、骨の量を増やします。自転車とランニングの違いは、骨に衝撃がかかるかどうかです。自転車を漕いでも骨には衝撃がかかりません。体重が自転車によって支えられているため、骨への衝撃という点では、ただ座っているのと同じなのです」(ヒントン博士)

 

骨は“人体の若さの門番”
 骨に衝撃がかかると、私たちの体の中で、何が起きるのか。まず、骨に伝わる衝撃を感知するのは、カルシウムでできている硬い柱の中に潜んでいる骨細胞だ。骨細胞は、いわば「衝撃センサー」の役割を担っている。全身に数百億個あるとされる骨細胞は互いに結び合い、骨の中にネットワークを張り巡らせている。このネットワークで体にかかった衝撃を敏感に
感知する。衝撃を感知すると、骨細胞は、「骨をつくるのをやめよう!」というブレーキ役のメッセージ物質の量を減らし、代わりに「骨をつくって!」というアクセル役のメッセージ物質を発して、骨をつくる骨芽細胞の数を増やす。つまり、骨は私たちが活動的に動いている限り、骨芽細胞からメッセージをたくさん放出して、全身の若さを保ってくれるのだ。
 ところが、活動をやめてしまうと、逆に骨はもはや若さを保つ必要はないと判断し、メッセージを止めてしまう。例えば、運動をしないで1日の大半を座って過ごしているような人は、知らないうちに若さを保つメッセージ物質が途絶えてしまうかもしれないのだ。