腎臓は命に関わる、 さまざまなメッセージ物質を放出している

『人体~神秘の巨大ネットワーク』の第1集は、「“腎臓”が寿命を決める」というタイトルで腎臓に焦点を当てた内容なのですが、なぜ腎臓がシリーズの第1回で取り上げられるのかは、番組を見てよく分かりました。
 腎臓の働きが生命活動に重要なことは理解していたつもりだったのですが、それはあまりに部分的で、かつ浅い理解だったことを、この第1集を見て痛感しました。腎臓は、単に血液の濾過装置ではなく、体に必要な成分だけを吸収し、血液の成分調節を行っている重要な臓器だったのです。その「成分調節」は、体の各臓器からのメッセージを受け取りながら、判断しているところがスゴイところです。まさに情報ネットワークを駆使しながら、成分調節が行われているのです。

 さまざまなメッセージ物質も放出しているのですが、番組のなかで特に印象的だったのは、EPO というメッセージ物質を腎臓が出しているいることについての解説でした。EPO は、1990 年代くらいから、ツール・ド・フランスなど、ヨーロッ
パの自転車ロードレースでプロ選手が不正使用している疑惑が持たれていた薬品(薬物)で、特に有名なのは、1999年から2005年にかけてツール・ド・フランス7連覇の偉業を達成した、ランス・アームストロングがEPO を(それ以外の薬物も)使っていたことです(のちに、この7連覇のタイトルは剥奪され、「永久追放」の宣告を受けた)。
 このEPO が腎臓でつくられるメッセージ物質だったことを、第1集の番組のなかで知りました。番組では、水泳などの競技選手が高地トレーニングを行うことで、なぜ持久能力が向上するのかについて解説しています。