タンパク質の飢餓状態: 身体は1日の60gのタンパク質を必要としている

 腸管から吸収されるためには、なぜタンパク質がアミノ酸に解体されなければならないかについて、『新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』の解説で、私自身初めて知ることになったわけですが、そこで「動的平衡」という新たな概念も同時に知ることになりました。そして、タンパク質を毎日摂る必要があることの理由も、あらためて知ることになりました。

筋肉づくり、特にボディビルディングの世界では、筋量を増やすために1日、体重1㎏あたり2g のタンパク質を摂ったほうがいいといわれてきました。私自身は、トレーニングやフィットネス分野の専門誌を長く編集してきたので、タンパク質といえば、筋肉づくりのためにはタンパク質を積極的に摂る必要があるということばかりに目が向いていたのですが、「動的平衡」について知ってからは、そもそも生きていくうえで「タンパク質の合成と分解」を毎日続ける必要があるというこ
とを、初めてしっかりと理解しました。
 筋肉だけでなく、身体のあらゆる組織のタンパク質は細胞レベルで「合成と分解」を繰り返しているので、大人の場合、1日60g のタンパク質が身体の外に出て行く。逆にいえば、1日60 g のタンパク質を毎日摂る必要があるというということを、「動的平衡」という概念とともに知りました。

皮膚や爪、髪の毛だけでなく、心臓や脳も、臓器のそれぞれも、細胞レベルで「合成と分解」が行われているので、タンパク質は毎日摂る必要がある。2、3日に1回、まとめて摂ればいいというわけにはいかない(“摂り溜め”はできない)ということもあらためて知りました。 これらについて詳しく解説しているのが、以下に引用する箇所です。