グラストンテクニック

ステンレス製器具を用いて瘢痕組織の癒着を解きほぐす注目のテクニック

アダム・バイブル Adam Bible

 

ハードなトレーニングの繰り返しによって瘢痕組織や筋膜のこわばりが生じ、それが関節の痛みや腱炎、筋肉の凝りなどを引き起こす。そうした問題に悩まされている人に注目の情報だ。深部組織マッサージをさらに進めたような回復促進メソッドが注目を集めているのだ。
「グラストンテクニック」といわれるこのメソッドは、1990 年代にデビッド・グラストンによって考案されたものだ。グラストンは当時、アマチュアの競技選手だったが、膝のケガの問題を抱えていた。グラストンテクニックはマッサージといった、より一般的な回復テクニックよりも、効果が速く、また成果も高いといわれている。
「グラストンテクニックは専用のステンレス製器具を用いる施術法で、この器具を使うことによって組織の質感の異常をよりしっかりと検知することができる」と、グラストンテクニックのディレクターを務めるマイク・プロスキは説明している。研究や施術例では、腱炎、手根管症候群、腰痛、腸脛靱帯症候群、足底筋膜炎といった症状の改善に効果をあげる可
能性が報告されている。専用器具を使うことによって、手を使う場合では見つけにくい組織のわずかな制限を判別し、より的確に刺激を与えることができるからだという。さらにプロスキは、次のように付け加えている。

「器具を使うことによって、患者も組織の異常を施術者と同じように感じ取ることができるし、改善についても感じ取ることができる」

 

さらには、グラストンテクニックによる刺激によって細胞の反応が引き出され、筋組織が再構築、修復、強化されることになるという。これは「メカノセラピー」といわれる医療技術で、アスリートの可動域の向上やハードなトレーニング後の遅発性筋肉痛の痛みを軽減する効果も示されている。MLBのニューヨーク・ヤンキース、NBA のクリーブランド・キャバリアーズ、NFL のニューイングランド・ペイトリオッツはじめ、多くのプロスポーツチームに取り入れられているのはこのためだ。

しかしながら、グラストンテクニックの効果を疑問視する意見もないわけではない。懐疑的な意見としては、人間を対象とした研究例がほとんどないことが指摘されている。また、アメリカではほとんどの保険会社が、臨床研究レビューでの有効性の確証が不十分な代替医療の範疇に含めている。 しかし、軟部組織の長引く痛みに悩まされていれば、試してみるといいだろう(アメリカの場合、1回の施術料金は60〜90ドル)。切開などのように体を傷つけることもない。痛むのは財布程度で、安全なテクニックだ。

 

ウェブサイト
http://www.grastontechnique.com/(注:情報は英語)
グラストンテクニックジャパン
http://www.grastontechniquejapan.co.jp/