EPOC(運動後過剰酸素消費量)を 活用して脂肪燃焼をうながす

デビッド・オテイ

 

引き締まった体をつくるために脂肪燃焼効果を最大限に得るためには、運動に対する体の反応、特に特定の効果をもたらす反応について知る必要がある。そこで重要となるのが、「E P O C(E x c e s s P o s t - E x e r c i s e O x y g e n
Consumption /運動後過剰酸素消費量)」といわれる反応だ。EPOCは体の生理学的な機能であり、より強力な脂肪燃焼反応を引き出すためのメソッドといったものではない。だが、この知識にもとづいてプログラムを作成することが大きな成果につながる。以下にEPOCの概要、活用法について解説していこう。EPOCを役立てることによって、運動後も最大3日まで脂肪燃焼を高めることができるのだ。

 

EPOCとは
「EPOC(運動後過剰酸素消費量)」とは、強度の高い運動後に起こる生理学的反応で、運動後の体(心拍数や体温、筋組織、グリコーゲンレベルなどに起こる変化)を通常のレベルに戻す反応をいう。

 

EPOCの仕組み
強度の高い運動時(ウィンドスプリントや高レップのトレーニングなど)には、ATP(アデノシン三リン酸)を使う無酸素性のエネルギー供給系のように、短時間でエネルギーが供給されるシステムが使われる。酸素を使う有酸素系のエネルギー供給系では時間がかかるからだ。この激しい運動中に酸素が体に十分供給されず“酸素負債”の状態になり、その負債分を
「EPOC(運動後過剰酸素消費量)」の反応によって運動後に取り戻すことになる。いわば“前借り”したものをあとで返すということで、激しい運動後には“ 酸素負債”を解消することによって、体を通常のレベルに戻していくのだ。

 

脂肪燃焼に効果をあげる理由
EPOC の過程の72%にわたって、酸素負債を取り戻すために体内のシステムはよりハードに働くことになり、代謝も約5%上昇する。この上昇分は1日に約100kcalのエネルギー消費の増加となり、この上昇が3日にわたって続くことになる。

 

「EPOC」を活用したトレーニングプラン
EPOC の反応を引き出す以下の2つのプログラムを実践してみよう。

 

ウェイトトレーニング

スクワットやベンチプレスといったルーティンのメイン種目を下記の方法で行う。その他の種目は通常の方法で行う。

 

セット         レップ数
  1                   12(推定1RM*1の70%で)
  2                   10(推定1RMの75%で)
  3                     8(推定1RMの80%で)
  4                     6(推定1RMの85%で)
  5                     3*2                               

*1 1レップだけ上げられる最大重量。
*2 1 RMの90%でエキセントリックレップ(下ろす局面を重視してゆっくり行う)を3レップ行ったら、すぐに

         12RM(12レップだけ上げられる最大重量)でできるかぎりレップを反復する。

 

エアロビックトレーニング

体重と同じウェイトのトラップバー、または左右それぞれの手にダンベルを持って、約23m歩く。ウェイトを置いて、スプリントでスタートラインに戻る。ウェイトを置いた場所までスプリントで戻る。トータルで約69m進み、1レップとする。

 

エクササイズ         セット数        レップ数         休息時間
ファーマーズ  

ウォーク                    5                約69m                60秒