ブライアン・マシューズ
ウェイトを爆発的に上げるためには、トレーニングもそれに即した方法で行う必要がある。「アメリカで行われている筋力強化プログラムの多くは、コントロールした動作をゆっくりしたスピードで行う方法をとるものが多い。だが、爆発力を高めるためには、トレーニングも爆発的に行う必要がある。そのための効果的な方法となるのが、『フレンチコントラス
ト』といわれる方法だ」と、パフォーマンススペシャリストのクリス・グレイはいっている。
「フレンチコントラスト・メソッド」とはストレングスコーチのカル・ディーツによって広まったもので、アスリートのパワー出力を高める方法として世界中のストレングスコーチに用いられるようになったものだ。以下にこの方法の概要、そしてトレーニングへの取り入れ方を解説していこう。
どんな方法か
「フレンチコントラスト・メソッド」とは、重いウェイトを使う複合種目(バックスクワットなど)にプライオメトリックエクササイズ(スクワットジャンプなど)を組み合わせる方法をとるものだ。それによって爆発的パワーがさらに高められることになる。
効果をもたらす理由
重いウェイトを使うエクササイズでは、筋肉の運動単位がより多く動員される。そしてこの運動単位の一時的な増強効果を、次に行うプライオメトリックエクササイズにも活かし、パワー出力を高めることができる。そうしてこの方法でトレーニングを続けていけば、効果が積み重なり、パワー出力が高まっていくことになる。
取り入れ方
「フレンチコントラスト・メソッド」は期間を限定して取り入れる。3〜4週間行ったら、通常の筋力強化プログラムに移るようにする。
「フレンチコントラスト」メソッドのプログラム例
A、Bと表示された2種目をスーパーセット*1で行う。スーパーセットをすべて終えたところで60秒休む。
下半身エクササイズ セット数
レップ数 1RM*2に対するパーセンテージ
1A バーベルスクワット
3
2
80%
1B バーティカルジャンプ
3 3
-
2A バーベルスクワット
3
2
50%
2B バーティカルジャンプ
3
3
-
3A バーベルスクワット
3
2
80%
3B バーティカルジャンプ
3
4
-
4A サイドランジ 3
5 -
4B ラテラル・ブロードジャンプ
(横方向の幅跳び) 3 2 -
上半身エクササイズ セット数
レップ数 1RM*2に対するパーセンテージ
1A ベンチプレス
3
2
80%
1B プライオメトリック・
プッシュアップ
3 5
-
2A ラットプルダウン
3
5
高重量
2B チンニング(順手で)
3
2
-
3A オーバーヘッドプレス
3
2
50%
3B メディシンボールスラム
3
3
-
4A バーベルロウ
3
5
70%
4B インバーティッドロウ
3
5
-
*1
2種目を組み合わせて各1セットずつ、間に休息を入れずに行う。
*2
1レップだけ上げられる最大重量。