握力向上に効果的なトレはなに?澤田友紀(札幌スポーツ& メディカル専門学校)

野球やゴルフなどさまざまなスポーツで必要とされている「握力」。トレーニング指導において、実は握力向上のためのアドバイスを求められる機会は意外に多いものです。そこで、今回は握力を単独で高める効果的なトレーニング方法について模索してみました。対象は専門学校に在籍する19〜21歳の男女22 名。競技歴はさまざまで、基礎的なレジスタンストレーニングのテクニックは習得していますが、定期的なトレーニングは行っていませんでした。対象の22 名に対し、握力が向上すると思われる下記A 〜Dのエクササイズを4グループ(1グループ5〜6名)に分け、週2 回・4週間実施しました(なお、被験者はすべて右利き)。

  

A グループ:リストカール(最大限のエキセントリック、コンセントリックを強調/10RM×10回× 3セット)
B グループ:フロア・デッドリフト(挙上する際にグリップを強く握る/5RM×5回× 3セット)
C グループ:ぶら下がり(スミスマシンのバーに限界までぶら下がる/自重×オールアウト×3セット)
D グループ:指立て伏せ(5 本の指を立てた状態での腕立て伏せ/自重× オールアウト×3セット)。
 

その結果、両腕の平均値および左腕の握力については、トレーニングによる影響は確認されなかったものの、右腕のみ
の握力の結果を見てみると(下図参照)、C グループの「ぶら下がり」において向上傾向となり、一方、A グループの「リ
ストカール」においては握力が有意に低下しました。
 以上の実験結果から、自重を用いた「ぶら下がり」エクササイズは握力向上に有効であることが示唆され、最終的に手首、前腕筋群によりアイソメトリックおよびエキセントリックな負荷が加わるトレーニングは、握力向上に効果的ではないかと考えられるといえるでしょう。
 一方、リストカールに代表される前腕トレーニングを週2回実施することにより、急性の局所疲労のためか、逆に握力
の低下が示されことも併せて付記しておきます。


■『握力向上のために効果的なトレーニング方法』:
澤田友紀(札幌スポーツ& メディカル専門学校)、第1回日本トレーニン グ指導学会大会ポスター発表抄録集より