疲労軽減にはサングラスが必須

皮膚への紫外線が疲労を引き起こすことはよく知られていますが、実は目に直接入る紫外線も疲労の大きな原因になります。
目が浴びる紫外線の大半は角膜で吸収されます。残りはレンズの役割をする水晶体、もしくはフィルムの役割を果たす網膜に到達します。角膜に紫外線が入ると活性酸素が大量に発生して炎症反応が起こります。その炎症によってサイトカインが分泌され、「紫外線が来たぞ!」という情報を脳に伝えます。紫外線は、生物にとって、自身の細胞のDNA を書き換えてしまう恐ろしい大敵です。目の角膜から「大敵が襲ってきた」という情報を得て、脳の自律神経のコントロールセンターは臨戦態勢をとり、メラノサイトを活性化させてメラニンを分泌し、敵の襲来にそなえます。この臨戦態勢を整えることが自律神経を疲弊させ、大きな疲労を生みます。つまり、皮膚に紫外線を直接浴びなくても、目から紫外線が入るだけで角膜の炎症反応から疲労が蓄積されていくのです。

 

ここで有効なのがサングラスです。マラソンや駅伝など、屋外で長時間にわたって行うスポーツの選手たちがサングラスをかけているのは、まぶしさを防ぐとともに、目に入る紫外線をカットして紫外線疲れを防ぐ目的があるのです。
サングラスを選ぶ際には、「紫外線を99%以上カット」でき、また、レンズと顔のすきまから反射光や散乱光が入り込まない、スポーツタイプのように自分の顔にすきまなくフィットするタイプにしましょう。
 

注意が必要なのは、サングラスの色についてです。レンズの色が濃ければ紫外線カットになると思っている人が多いのですが、それは間違いです。紫外線を通しやすい、もしくはUV カットの機能がまったくない濃い色のサングラスが、雑貨屋や用品店などでたくさん売られています。そういったサンングラスをかけて太陽光をみつめるととても危険なので絶対に避けてください。目に入る光の量を調節しているのは、黒目の中心部にある瞳孔(ひとみの部分)です。濃い色のサングラスをかけると目に入る光が減って瞳孔が大きく開いたままになるため、多くの紫外線が網膜まで達することになって危険です。
 

紫外線カット機能つきのコンタクトレンズを使っている人も、安心はできません。コンタクトレンズが覆ってくれるのは黒目の部分だけで、白目の部分は紫外線を受けるため、これまで述べた理由で疲労につながるからです。
コンタクトレンズの上から紫外線99%以上カットのサングラスをかけるようにしてください。