生体に「ゆらぎ」があるから自然環境は心地よい

なぜ、人は「ゆらぎ」を心地よいと感じるのでしょうか。

 

 それは、自然環境に存在する人の生体もつねにゆらいでいるからです。自然環境の「ゆらぎ」と人体の「ゆらぎ」がシンクロすることが心地よさをもたらしていると考えれます。

 

 自然界に一定の事象はありません。自然環境のあらゆる事象はつねに「ゆらぎ」を持っています。物理学は私の専門分野ではありませんが、素粒子のようなミクロの世界でも、あるいは宇宙のようなマクロの世界でも、「ゆらぎ」

 

は共通に見受けられます。

 

 ヒトの生体活動にも、「ゆらぎ」があります。

 

 まず、体の要となる脳と心臓をみてみましょう。脳波を計測すると、その曲線は毎回ずれています。心臓の拍動数である心拍数も、刻々と変化します。このことは、ヒトの体が「ゆらぎ」ながらコントロールされていることを示しています。

 

 人の生体活動として、心拍、脳波、呼吸、体温、血流、血圧などを計測した場合、計測値にもっともノイズが少ない状態の「ゆらぎ」が観察できるのは、目の瞳孔です。

 

瞳孔の大きさをコントロールしているのは、自律神経です。自律神経はつねに「ゆらぎ」を持っており、それが瞳孔の大きさにも反映します。交感神経が優位になると瞳孔は開き、副交感神経が優位になると瞳孔は閉じていきます。また、正しい視覚情報を得るうえでも瞳孔のゆらぎは大きな役割を担っていることが知られています。