栄養ドリンクを飲みすぎると疲れはむしろ溜まる

栄養ドリンクは、疲れたときに栄養補給を目的としたドリンク剤とCM などでうたわれ、製品によって、ビタミン、アミノ酸、生薬、漢方由来成分などが配合されています。
コンビニやドラッグストアにはさまざまな栄養ドリンクが並んでいますが、どれをとっても「疲労が改善する」という表示はありません。現在のところ、疲労回復効果が証明されているものはひとつもないからです。日本でもっとも売れている栄養ドリンクのひとつには、タウリンが多く配合されています。タウリンは胆汁酸の分泌を促すなど、肝臓に働きかける作用
が知られていますが、疲労を軽減するというエビデンスはありません。

 

徹夜でプレゼン用の資料を用意する、資格試験直前に気合いを入れて頑張らねばならないときなどの一時的な目覚まし用ドリンクと考えることもできますが、「疲れた」が口癖になっているビジネスパーソンが日常的に栄養ドリンクやエナジードリンクを飲み続けることは、疲労回復にとって明らかにマイナスに働きます。 なぜなら、本当は疲れているのに、これらドリンクの覚醒や高揚をもたらす成分が、疲労を隠すマスキング作用を発揮するからです。医学的にみた場合、多用すると疲労をみすごす可能性があるため、人の体にとってはむしろ危険だといえるのです。

 

栄養ドリンクに期待を寄せるのはやめて、疲労を溜めない働き方、生活を考えるべきです。栄養ドリンクやエナジードリンク以外にも、疲れをとってスタミナをつける食べ物というと、ニンニク料理、ウナギ、焼肉などが挙げられます。これらの
食材が疲れ対策に効く、とくに夏バテ対策に勧められることがあります。しかしながら、これらも栄養ドリンクと同様に、日本が慢性的な栄養不足に悩んでいた時代に有効であったということです。

 

夏バテの真の理由は栄養不足ではなく、高温多湿の環境でホメオスタシスを保つために、自律神経が酷使されて脳疲労が溜まることにあります。