糖尿病改善のために -筋肉トレーニング- その2

糖尿病の病態とは、血液中に糖がいつまでも残っ ており、それらが使われないためにおこる様々なトラブルをさします。健康な人であれば、糖が入ってくると体は血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌し、速やかに血糖値を下げようとします。しかし、それがうまくいか

 

ないのが糖尿病の人の状態なわけですね。

 

 

 

そして、私たちの生体内には血糖を下げるホルモンとしては唯一インスリンしか備わっていません。インスリンだけが血糖値を直接下げられるホルモンなのです。

 

 

 

糖尿病でない人の場合では、体に入ってきた糖の7割以上が筋で利用されています。しかし、糖尿病の人の場合では、糖の総利用量が健常者の約半分になっているといわれています。つまり、糖尿病の人は体の中でうまく糖を使うことができずに余らせてしまうのですね。

 

 

 

その原因は筋での利用率が低下したためだといわれています。筋肉は血糖を利用してくれる最大の部分ですが、糖尿病の人の場合は、筋肉自体がインスリン抵抗性を持つために、せっかくの糖がうまく取り込むことができなくなってしまうのです。結果、行き場を失った糖が血中に過剰となって、糖尿病の症状を呈するようになります。

 

 

 

しかし、落ち込むことはありません。筋肉に余った糖を利用してもらう良い方法があります。それが「筋収縮」といわれるものです。

 

 

 

インスリン抵抗性のある筋肉であっても、動かして収縮されることで糖の取り込みがおこるのです。結果、血液中でだぶついていた糖が使われるようになるというわけです。

 

 

 

ところで、先ほどインスリンについて説明しました。インスリンは血糖を下げる唯一のホルモンとお話ししましたね。ところが最近の研究によれば、驚くことに筋肉の収縮による血糖の取り込みは、インスリンを介さない独自の経路で行われることがわかってきたのです。

 

 

 

つまり筋収縮は、体に備わった唯一の血糖降下ホルモンであるインスリンとは異なるやり方で、血糖値を下げることができるというわけです。この驚くべき説を裏付ける報告があります。

 

 

 

アメリカの研究ですが、メトフォルミンという古い糖尿病治療薬があります。これは、発症前から服用していると発症率が低下することがわかり、いまでは糖尿病「予防薬」としても働くことが示唆されています。このメトフォルミンはヨーロッパではその血糖降下作用が認められ、その後世界中で広く使用されてきた糖尿病治療薬ですが、長らく「なぜ効く」のかはわからないままでした。その後、21世紀に入ってまもなく、メトフォルミンは骨格筋で血糖降下作用を発揮していることが明らかになったのです。研究者は、メトフォルミンは筋トレと同じメカニズムで糖尿病の予防効果を発揮していたのだと考えるようになりました。

 

 

 

このように、筋を収縮させる筋トレは多方面から糖尿病を改善する効果があることが明らかになったのです。