理想的な体温を考える上での3つ目の要素、それが「1日の体温差」です。若く健康な人というのは、最高体温と最低体温の差が大きくなります。ところが歳を重ねるほど、その差が小さくなってきます。「体温の高低」は、「生活のメリハリ」を表している、と言えます。体温差がないということは、毎日の生活にメリハリがないということで、それが不眠の原因にもなり、不健康につながっていくのです。
ここまで、理想的な体温を考える上での3つの要素についてお話をしました。
それは、
「平均体温を上げること」,「起床時よりも就寝時の体温を高めること」,「1日の体温差をできるだけ大きくすること」
の3つです。 この3つの課題をクリアして、理想的な体温に近づける方法はあるのでしょうか? あります。
ある時間帯に「早歩き」をすればいいのです。では、ここでみなさんに1つ問題を出します。
早歩きをするのに、もっとも適した時間帯は1日のうちのどこでしょうか?
①早朝
②日中
③夕方
④就寝時
どの時間帯か、わかりますか?
正解は、③の夕方です。
そして、もっともおすすめできないのは、①です。なぜ、あなたが夕方に早歩きをするのが正解なのでしょうか?
先ほどもお話ししたとおり、夕方の4~6時は人間の体温がいちばん上がる時間帯です。夕方に早歩きをすれば、筋肉に刺激が与えられ、血液のめぐりもよくなります。そして、ピークの体温がさらに上がります。そのため、最高体温と最低体温の差は広がります。また、夕方のピーク時から徐々に体温が下がり就寝時の体温に至りますから、夕方の体温が高ければ就寝時の体温も高くなり、起床時よりも就寝時のほうが高くなります。そして、平均体温も必然的に高くなります。
あなたの体温はいかがでしょうか?ためしに、朝起きてすぐと就寝前の2回、あなたの体温を測ってみてください。
体温差が0.5℃以上あればいいのですが、もしもほぼ変わらないか、マイナスとすれば要注意です。まずは、1日のピークになる、夕方の時間帯の体温を上げる工夫が必要です。そして、いちばんのおすすめは夕方の早歩きです。
健康寿命の観点から「歩く」を考える場合、「量」と「質」に加えて「タイミング」も重要な要素となっているわけです。
ただし、夕方4~6時は、夕食との兼ね合いなどもあり、歩く時間が取りにくい人もいるでしょう。その場合は、日中の時間でもいいですし、就寝2~3時間前でもいいでしょう。理想は「夕方」ですが、それが無理な場合は、
「起床後1時間以内」は、危険な時間帯なので避けたほうがよい
「就寝前1時間以内」は、体温を下げていく時間に充てたいので避けたほうがいい、
という2点を念頭に置き、ウォーキングをおこなえばよいと思います。