ワークアウトが糖尿病に有効な理由

糖尿病の人がワークアウトをした方がいい理由 

 

 

 

 

 ワークアウト(筋肉トレーニング)をして筋肉量を増やすことが、糖尿病の予防や改善に役立つことは分かりました。

  しかし、なぜ筋肉トレーニングをすることが糖尿病改善につながるのでしょうか。

 

  まず、私たちは、特に何もしていなくても自然にエネルギーを消費しています。1日中横になって何もしなかったとしてもエネルギーを消費しているんですね。これを基礎代謝といいます。基礎代謝はいわば、パソコンを立ち上げておくだけで使用される電力のようなものです。パソコンを操作しなくても、ただ立ち上げておくだけでどんどん電力が消費されるんですね。そこで運動やスポーツをおこなうと、基礎代謝に加えてさらにエネルギーを消費するというわけです。

 

 

 

通常の運動習慣をもつ人の場合、1日の全エネルギーの約60%は基礎代謝で消費されているといわれています。この基礎代謝は人によって異なりますが、高ければ高いほど、何もしなくても消費するエネルギー量が高いということになります。基礎代謝を上げることは、肥満対策ひいては糖尿病対策にも有効だといえるでしょう。なにしろ何もしなくてもエネルギーを消費するわけですから。

 

 

では、どうしたら基礎代謝を上げられるのでしょうか。実は、基礎代謝を消費する場所の多くが筋肉です。言い換えれば、筋肉は使わなくても存在しているだけでエネルギーを消費してくれるということになります。全身の基礎代謝のうち30%は骨格筋で代謝されています。骨格筋とは手や腕などの骨格についている筋肉のこと。

 

 

 

これらの骨格筋が基礎代謝の多くを占めています。つまり、骨格筋の量が大きければ多いほど基礎代謝もまた多くなるというわけです。筋肉量が多いほど肥満になりにくく、糖尿病にもなりにくく、糖尿病になったとしても悪化しにくいということがお分かりいただけたでしょうか。

 

 

 

それだけではありません。私たちの体内で、高血糖の原因となるブドウ糖をもっとも多く取り込む器官は筋肉です。

 

ところが、悲しいかな筋肉量は20歳代がピークで、その後は少しずつ減少し、80歳代では30歳代の頃の60%程度になるといわれています。そのため中高年になると、当然のように筋肉量は減少し、ブドウ糖の消費量も減少します。

 

 

 

しかし、そこで食事量が変わらなければどうでしょうか。当然、余ってしまった糖は使われないまま血液中に放置され高血糖の原因となってしまうのです。食事量は変わっていないにもかかわらず、加齢とともに筋肉量が減り、糖尿病が悪化してしまうというパターンです。しかし、逆を言えば、筋肉量を増やせば、消費も増えるということです。

 

 

 

このように、糖尿病の人にとって筋肉というのは二つの重要な役割を果たします。一つが基礎代謝の上昇。肥満を予防する働きですね。そしてもう一つが、筋肉を動かすことで直接血糖が消費されるという働きです。これら二つの点から、筋肉量を増やすことは糖尿病予防・改善をするうえで欠かせないというわけなのです。