糖尿病と筋力の関係
まずは、糖尿病と筋力の関係から見ていくことにしましょう。
糖尿病患者の多いアメリカでは、すでに筋肉と糖尿病との 関係をめぐるいくつかの調査が実施されています。一例が、
カリフォルニア大学ロサンゼルス校で行われた調査です。 この調査では筋肉量とインスリン抵抗性の関係を調べてい
ます。
インスリン抵抗性とは、読んで字のごとく、体の中で分泌 されたインスリンに対する抵抗のこと。ご存知のようにイ
ンスリンは血液に糖が取り込まれた際に速やかにこれを分 解し血糖値を下げる働きを促しています。したがってイン
スリン抵抗性が高ければ高いほどインスリンの効きが悪くなることを意味し、結果として糖尿病が悪化しやすくなってし
まうというわけです。
調査によれば、被験者の筋肉量の比率が10%増加するごとに、インスリン抵抗性が14%、糖尿病予備軍の発症リスク
が23%低下したとのこと。簡単にいえば、筋肉の割合の多い人ほど、糖尿病になりにくい、またはなっても悪化しに
くいということがわかったわけです。
また、ハーバード大学公衆衛生学部の長期調査でも同様の結果が出ています。筋肉トレーニング、すなわち筋トレを
おこなっていない人と行っている人とを比較すると、筋トレを週1~59分おこなっている人の場合、糖尿病発症リス
クが12%減となるそうです。
さらに、週60~149分では25%減、週150分以上では34%減になるとされています。筋肉量が多いほど糖尿病発症リス
クが下がるというわけですね。調査によれば筋トレの時間が1週間当たりで60分増えるごとに、発症リスクは約13%
減少するんだとか。なるほど、筋力というのは糖尿病の改善に深く影響をしているんですね。
これまで、ウォーキングやランニングといったいわゆる有酸素運動の糖尿病予防効果は知られていました。しかし、
これらの調査からは、筋トレにもまたかなりの予防効果があることが判明したのです。これは聞き捨てなりませんね。