アルコールと糖尿病の関係

アルコールは糖尿病にも拍車をかけるようです:

 

糖尿病を治療するうえで、基本的に多量のアルコール はNGとされています。それはなぜでしょうか。理由の一つ目が、アルコール飲料には糖質が含まれているという点。アルコールに含まれる糖質量はアルコールの種類により異なりますが、最も多い発泡酒で350ml あたり12.6gとなっています。次に多いのがビールで10.9gです。以降、梅酒グラス1(50ml)あたり10.4g。 清酒1合あたり8.1g、ロゼワイングラス1杯あたり2.4gと続きます。このように、アルコールには糖質が含まれているため糖尿病の人は摂取を制限する必要があるのです。

 

ところで近年、「糖質ゼロ」「糖質オフ」「カロリー オフ」といった表示をしたビールや発泡酒などの酒類がよく出回っています。では、これらのアルコールであれば飲んでもいいのでしょうか。実はそうではないのです。まず、「糖質ゼロ」と表示してあっても、カロリーは「ゼロ」ではない点に注意が必要です。健康増進法に基づく栄養表示基準では、100mlあたりで糖質0.5g未満であれば「糖質ゼロ」と表示できるからです。つまり「糖質ゼロ」のアルコールであってもいくらかは糖質を取っているというわけなんですね。

 

また、そもそも酒類には糖質だけでなくアルコールが含まれています。アルコールは糖質ではないものの高カロリーであることには変わりありません。アルコールは、1g当たり7kcalです。一方砂糖は1gあたり4kcalですので、アルコールは砂糖よりも高カロリーということになります。したがって、糖質が抑えられたアルコールであってもアルコールそのものが高カロリーであるため、糖尿病の人にはお勧めできないということになるわけです。

 

それ以外にも理由があります。アルコール摂取する際に、「つまみ」を食べてしまうとそれだけで余分な糖質やカロリーを摂取することになってしまいます。また、多量に飲酒している人の場合、アルコールによって神経機能が衰えることが知られています。糖尿病のある人の場合、これと相まって糖尿病性末梢神経障害が早期から引き起こされることがわかっており注意が必要なのです。

 

 一方でアルコールは低血糖発作を引き起こすこともあります。食事を十分にとらずに飲酒してしまうと、アルコールを代謝するために、糖新生(とうしんせい)といって体内で糖質を産生し血糖値を一定に保つ働きが障害されることがよくあります。すると、血糖値が下がり低血糖になりやすくなります。インスリン注射や経口血糖降下剤などでの薬物治療中であればさらに低血糖を来たしやすくなってしまいます。こうやって低血糖発作を何度も起こしていると、血糖コントロールが不良となり糖尿病が悪化しやすくなってしまうのです。

 

 これらの理由から、糖尿病患者はアルコールは控えることが勧められているというわけです。