鍛えたい部位を予備疲労法で追い込む、その4

ボディビルダーたちは予備疲労法に効果があることを経験的に知っています。単にワークアウトの強度を高めるだけでなく、ターゲットの筋肉を確実に追い込むテクニックであることを理解しているのです。複合エクササイズで主働的に働く筋肉だけを、その直前に鍛えると、複合エクササイズを行うときにその筋肉を追い込むかたちで集中的に鍛えることができます。たとえば、ディップスの前にトライセップスプッシュダウンを行い、クローズグリップベンチプレスの前にロープトライセップスエクステンションを行うが、そうすると複合エクササイズ(ディップス、クローズグリップベンチプレス)を行うときに上腕三頭筋の働きをよりしっかりと感じ取りながら動作を行うことができるようになります。

 

このように予備疲労法を使うと筋肉の働きもよりしっかりと感じ取れるようになりますが、そのためにはアイソレーションエクササイズでハードに追い込むことが必要です。限界、あるいは限界近くまで行う必要があるのです。予備疲労法で行うアイソレーションエクササイズは、ウォームアップやパンプを得るためのものではありません。鍛える筋肉に血液を送り込めばいいのではなく、疲労させることが目的なのです。力がいちばん弱い筋肉が最初に疲労します。予備疲労法はそのことを利点としたテクニックなのです。一時的に疲労に追い込んでおくことによって、その直後に行う複合エクササイズではその筋肉がいちばん「弱い筋肉」になります。先に行うエクササイズによって疲労しているので、次の複合エクササイズで全体的に発揮される筋力が低下することにはなりますが、ほかの筋肉の影響を受けずに、ターゲットの筋肉を完全に疲労に追い込むことができるのです。正しく使えば、予備疲労法は追い込まれて疲労した筋肉を最大限に働かせる方法となり、成長をより速く引き出すテクニックとなるのです。