鍛えたい部位を予備疲労法で追い込む、その3

しかし、このテクニックの有効性に否定的な見解もあります。たとえばインターネットを検索すると、「予備疲労法は無効」といった意見も目にします。そうした例が、『Journalof Strength and Conditioning』誌に掲載された2003 年のスウェーデンの研究と、2007 年のブラジルの研究です。この2つの研究では、予備疲労法を適用した場合、直後に行う複合種目での筋肉の活動量が、適用しない(複合エクササイズのほうを先に行う)場合に比べて低下したことが示されています。この2つの研究はどちらも、筋活動量の低下が起こることから、予備疲労法の使用は避けるべきだと結論しています。

 

 

 

しかし、この結論は果たして本当に正しいのでしょうか? なぜなら、筋活動量の低下はむしろ逆に、予備疲労法の有効性を証明するものと考えられるからです。

 

 

 

予備疲労法のカギは、アイソレーションエクササイズを先に行うことによって、複合エクササイズでターゲットとなる筋群を疲労させておくことです。目的の筋肉を先に疲労させていているので、直後に行う複合種目では、疲労していない状態のときほどの力を発揮できず、筋肉の活動量は低下することになります。しかし、それは当然のことなのです。つまり前述の研究で、予備疲労法を適用してもターゲットの筋肉の活動量の低下が認められなかったとしたら、むしろそれこそ、予備疲労法が無効であることを示す結果になるということです。

 

 

つづく