伏在型の下肢静脈瘤

下肢静脈瘤で最も一般的な症状で、しかも最も大きな瘤が血管に浮かびあがり、それが蛇行している状態になっているのが「伏在型の下肢静脈瘤(伏在静脈瘤)」なのです。

 

 

 

発症場所は主に「大腿部(太股)の内側」や「ふくらはぎ」で、大きな血管のコブが見られることが多くなります。

 

この静脈瘤の症状を改めて整理してみますと、いずれも静脈の色や形状の異常です。「静脈」の異常なので基本的には青筋が浮き出ているような状態になります。

 

静脈は体中を巡った血液を再び心臓へ戻す役割を担った血管です。

 

この心臓へ血液を戻す静脈の機能が一部で異常を起こし、「血液が逆流している」現象を起こします。

 

この逆流が原因で「むくみ」「足のつり」「足のだるさ」「静脈の張り」などが起こります。

 

さらに下肢の皮膚が硬化を起こす、変色する、などと悪化して行きます。

 

足の静脈が逆流を起こしている点は説明した通りですが、ではどのように逆流が起きているのでしょうか。

 

 

 

まず静脈には血液を心臓に戻すための「弁」があります。

 

重力に逆らってでも血液を心臓に戻す、つまり人間が立った状態でも血液を送るための機能を弁が受け持っています。

 

ところがこの弁が壊れてしまうことがあります。

 

例えば日常的に立ったままの姿勢が続く場合、弁に負担がかかりすぎて一部の弁が機能しなくなります。

 

そのため立ち仕事の多い職業や、妊婦など下肢に負担のかかる方などに多く発症しています。

 

壊れた弁では心臓に血液を戻すことが出来ず、下流の静脈に血液が逆流してしまいます。

 

下流では必要以上の血液が滞留し、圧力がかかります。

 

圧がかかった状態が「コブ」のように静脈を太く浮かびあがらせているのです。

 

圧が大きければ瘤だけでなく蛇行を始め、「伏在型の下肢静脈瘤」となっていきます。

 

治療方法は症状によって様々な方法が取られますが、現在、採用例が広がっているのが「レーザー治療」です。

 

カテーテルを血管内に通し、そこからレーザーファイバーを挿入、レーザー光によって逆流を起こしている血管を焼きつぶします。

 

治療時間は、片足で10分から30分程度で身体への負担も抑えられます。

 

また、手術後の瘤を目立たなくするために静脈瘤切除術を同時に行うこともあります。

 

この場合でも、弾性包帯を巻いて圧迫し、手術後すぐに歩いて帰宅できるようになります。

 

その他に良く採用される療法としては、「高位結紮術(こういけっさつじゅつ)」、「ストリッピング手術」などがあります。

 

高位結紮術は特異な形状になった静脈瘤に行われますが、局所麻酔で患部を麻痺させてから切開術を行います。

 

ストリッピング手術は原因になっている血管を除去する療法です。