腸造血説について

現代はあらゆる食材が溢れた飽食の時代であり、今日の日本の食文化はある意味で慎みを忘れた、乱れたものになっています。一様に猫も杓子もグルメを気取ります。しかしこれは、同時にこれから先の日本人の食体系の破壊でもあります。
食生活その物を考えた場合、実は日本が高度成長期に差し掛かる以前の、いわゆる「貧しいかった時代」という時期の、日本人の食生活の方が正しかったのではないかという疑問を残します。
今日、現代人は「文明」という脂肪膨れの贅肉を躰に纏(まと)った為に、食生活は乱れ、慎みを忘れて、まさしく「文迷」の時代に突入したといえましょう。

人体は「食の化身」であるといわれます。その人が何を食べているかで、その人の肉体を作り上げ、その内面的な人格や、そして頑健といわれる心身を構築しています。
 そしてこれを更に証明するものが、一部の医学者の間で唱えられている『腸造血説』です。

 

この『腸造血説』は、現代医学の定説となっている『骨髄造血説』(現代医学では骨中の腔所をみたす柔軟組織を骨髄とし、赤色髄は造血組織で、赤血球・白血球・血小板などがここで形成され、黄色髄は脂肪組織から成る)を根底から覆すもので、「血球は腸で造られる」とし、食物が消化器で血液となるとした学説です。この学説を唱えたのは、千島喜久男医学博士で、これを「千島学説」といいます。

 

 

 

この千島学説によると、現代医学の定説である、生体を構成している細胞は、細胞自身が分裂して増殖するという説に対して、細胞は細胞自身で分裂増殖されるのではなく、赤血球から新生して細胞ができるという学説を掲げ、赤血球は消化器である腸で造られるという『腸造血説』を掲げている事です。これは東洋医学観の、「食べたものは血となり肉となる」という古代人の医学観を彷彿(ほうふつ)とさせます。

 

 

 

しかし今日では定説の、血液は骨髄で造血されるという考え方が主流で、現代栄養学もこの説を強く支持しています。
『腸造血説』は異端視され、現代医学では定説の『骨髄造血説』が広く支持されており、さらに残念なことに、この現代医学の学説が主流となっている為、本来変わるべき医学上の問題や、課題も無視されたままで、従来通りの誤った治療法がなされているのが実情です。 

 

 

 

つづく